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Q119 【みなし譲渡】法人から役員に無償贈与・低額譲渡する場合の消費税上の取扱い/棚卸資産・役務提供の場合は?

最終更新日:2023/04/24

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Q119 【みなし譲渡】法人から役員に無償贈与・低額譲渡する場合の消費税上の取扱い/棚卸資産・役務提供の場合は?

消費税の課税対象は、原則として「対価を得た取引部分」となりますが、例外的に、「対価」ではなく「時価」を基準に課税される場合があります。
一般的に、「みなし譲渡」と呼ばれ、①個人事業主が「自家消費」する場合と②法人役員間で「資産贈与」するケースが該当します(商法4条、28条)。
今回は、消費税上の「みなし譲渡」の規定のうち、法人役員間の「無償贈与・低額譲渡」取引につき解説します。

 

1. 消費税の原則的な考え方

消費税の「課税標準」は、原則として「実際に受け取る対価」となります。例えば、第三者に資産を無償贈与した場合は、対価を受領していないため、原則として消費税は課税されません。また、社員販売など、割引価格で販売する取引は、割引後の実際取引金額が「消費税課税標準」.となります。

 

2. 法人役員間の取引の場合

一方、法人役員間の場合は、取引価格に恣意性が入る可能性があることから、消費税上、①無償贈与や②低額譲渡取引につき、例外的な規定が設けられています
なお、法人と従業員間の取引の場合は、恣意性が介在する余地は少ないため、消費税の原則的な考え方に基づき、「実際に受け取る対価」が課税標準となります。<.

 

3. 役員への無償贈与

(1) 時価での譲渡と取り扱われる

法人が、その役員に資産を無償贈与した場合は、原則として、「時価で譲渡」したものとして、消費税が課税されます。例えば、不動産、車や絵画、有価証券等を無償贈与した場合は、「時価」が課税標準となります(消法4条5号、消基通10-1-1(注))。

【消費税法4条5号】
5 次に掲げる行為は、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなす。・・
二 法人が資産をその役員・・に対して贈与した場合における当該贈与

役員への無償贈与

 

(2) 棚卸資産を無償贈与した場合

役員に無償贈与した資産が「棚卸資産」の場合は、課税標準につき、例外的な取扱いが認められています。①仕入価額又は②通常販売価格×50%のいずれか大きい金額を「課税標準」とすることができます(消法4条5号、消基通10-1-1(注))。

棚卸資産を無償贈与した場合

なお、創業記念品等の支給のように、社会通念上、記念品等としてふさわしいものであり、かつ、役員に限らず、従業員等にも配付されるようなものは、課税対象にはなりません。

 

(3) 無償貸付・無償の役務提供は対象外

役員に対して「時価をベース」に課税される規定は、あくまで「役員に対する贈与」に限定されており、無償貸付や無償の役務提供は、課税の対象とはなりません。

 

4. 役員への低額譲渡

(1) 原則的な考え方

無償贈与と同様、法人が、その役員に資産を著しく低い金額(時価の50%未満)で譲渡した場合は、実際の対価ではなく、時価が課税標準となります。例えば、不動産、車や絵画、有価証券等を低額譲渡した場合は、「時価」が消費税の課税標準となります(消法28条1項、基通10-1-2)。

【消費税法28条】(課税標準)
・・ただし、法人が資産を第四条第五項第二号に規定する役員に譲渡した場合において、その対価の額が当該譲渡の時における当該資産の価額に比し著しく低いときは、その価額に相当する金額をその対価の額とみなす

原則的な考え方

 

(2) 棚卸資産を低額譲渡した場合

役員に低額贈与した資産が「棚卸資産」の場合は、例外的な規定があります。譲渡対価が、①通常販売価格の50%未満又は②仕入の金額未満の場合が「低額譲渡」とされ、時価(販売価格)が課税標準となります。つまり、棚卸資産の場合は、時価の50%未満の場合に限らず、仕入価格よりも低い金額で譲渡した場合も「低額譲渡」に該当し、通常よりも「低額譲渡」に該当する範囲が広くなっています

棚卸資産を低額譲渡した場合

 

(3) 合理的な値引率の場合

その資産の譲渡が、役員及び従業員の全部に一律or勤続年数などに応じた合理的な値引率に基づいて行われた場合は、時価ではなく「実際の対価の額」により課税されます。

 

5. 法人税上・所得税上の取扱い

(1) 法人税上は、原則時価で取引

法人が行う無償譲渡、低額譲渡については、法人税上は、相手が役員に限らず、従業員、第三者の場合も、原則として時価で取引したものとして課税され、寄付金・給与・役員賞与となります。この場合、個人側は、実際に金銭を受け取っていなくても所得税が課税される点に注意が必要です。詳しくはQ108をご参照下さい。

 

6. ご参考  法人税上の「経済的利益」

法人税上、役員に対する給与は、金銭によるものの他、給与支給と同様の経済的効果をもたらすもの(経済的利益)も含まれます。代表例として、以下のものが「経済的利益」として挙げられます(法基通9-2-9)。

● 資産の無償贈与、低額譲渡・無償役務提供、低額役務提供等
● 役員に対する債権の放棄・債務引受等
● 役員に対する無利息・低率貸付等

消費税が「贈与・低額譲渡」だけを対象にしているのに対し、法人税の「経済的利益」は、不動産や金銭の貸付、役務提供まで含めた広い概念です。経済的利益に該当する取引は、役員賞与と認定され、原則として損金不算入となります。

 

7. 参照URL

NO6321 法人の役員に対する贈与・低額譲渡の取扱い

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6321.htm

No.5202 役員に対する経済的利益

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5202.htm

 

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