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Q31 【令和8年改正】PC・プリンターなどを支出年度に一括経費にできる特例は3つ/~少額の減価償却資産や一括償却資産の会計処理

最終更新日:2026/01/16

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少額の減価償却資産の特例とは?

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

はまだ税理士法人の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
                                                           YouTubeチャンネル:はまだ税理士法人のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

お仕事で、単価が20~30万円程度のPCやプリンターなどを購入するケースは多いかもしれません。
こういった備品は、数年間利用できるケースが多いため、原則として、支出年度の経費ではなく、「固定資産」で計上し、数年間にわたって「減価償却」で経費に計上します。

ただし、1取引あたりの「単価が少額のもの」については、支出時に一括で経費にできる「例外」が認められています。
今回は、こういった「少額の減価償却資産」を一括で経費にできる「例外処理」を3つご紹介します。

令和8年税制改正により、令和8年4月1日以降の取得より、適用範囲が拡大(単価40万円まで)しています。
 

1.3つの特例の比較

実務上の便宜を考慮して、金額が僅少な「減価償却資産」については、支出時や、3年間で一括経費にできる特例が認められています。下記の3つです。法人に限らず、個人事業主も適用可能です。
 

(1) 3つの特例の比較

大きく、1取引あたりの「支出単価」が、①10万未満、②20万未満、③40万未満の3種類に区分されます。以下の通りです。
なお、すべて「損金経理」が要件となりますので、例えば、「支出時は資産計上を行い、税務申告で減算処理」は、損金として認められないと考えられます。

区分 内容 適用対象者 年間限度額 償却資産税 摘要
①10万未満(or使用可能期間1年未満)
(少額の減価償却資産)
取得時全額経費OK 全事業者
(白色OK)
なし 不課税
②20万円未満
(一括償却資産)
3年間均等償却 全事業者
(白色OK)
なし 不課税 「一括償却資産の損金算入に関する明細書」添付
③40万円未満
(中小企業者等の少額減価償却資産特例)
取得時全額経費OK 中小企業者等(青色のみ) 年間300万円以下(※) 課税 「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」添付

(※)事業年度が1年に満たない場合は、300万円を月割した事業年度月数が上限。

 

(2) 40万円未満の中小企業者等の「少額減価償却資産特例」の特徴

上記の通り、③単価40万円未満の「少額減価償却資産」のみ、他の制度と異なる点があります。以下の3つです。

中小企業者等に限定 資本金1億円以下の中小企業者等のうち、「常時使用する従業員数が400人以下」の事業者に限定 (令和8年改正)
金額制限あり 年間経費の上限額(300万円)あり
償却資産税が課税 「償却資産税」が課税される。
(償却資産税につきましては、Q98をご参照ください)

【中小企業者等とは】

●資本金の額が1億円以下で、以下に該当しない法人
    ・単一の大規模法人(※1)に発行済株式総数(※2)の1/2以上を所有されている
    ・複数の大規模法人(※1)に発行済株式総数(※2)の2/3以上を所有されている

また、連結法人や、適用除外事業者(事業年度開始前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等)は除かれます。

中小企業者、大規模法人の定義については、Q233でまとめています。こちらもご参照ください。
 

2.金額の判定単位

上記の通り、購入時の単価によって適用できる特例が異なりますので、どの金額で判定するのか?は、非常に重要です。

(1) 金額の判定単位は?

 通常取引される1単位ごとに判定します。ポイントは以下となります。

●通常、単独での取引単位となるか?
構造的・物理的に一体性があるかどうか。

機械及び装置 1台又は1基ごと
工具、器具及び備品 1個、1組又は1揃いごと
構築物 単体で機能を発揮できないものは1工事ごと
(2) 消費税込み?税抜き?

税込処理をしている会社なら税込、税抜処理の会社なら税抜で金額判定します。
 

(3)対象となる固定資産

有形、無形固定資産全般が対象となります。ソフトウェアや、売買処理されたリース資産、商標権、特許権なども対象となります。また、購入にあたっての付随費用(引取運賃、導入費用、購入手数料など)は、固定資産の「本体価額」として計上しますので、付随費用も含めて判定します(固定資産の付随費用につきましては、Q157をご参照ください)。

●購入対価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他)
●事業の用に供するため直接に要した費用

 

(4) プライベート資産の判定は、家事按分前で判定

例えば、個人事業主で、プライベートでも利用する備品を購入する場合、経費となる金額は「事業利用部分」のみとなりますが、少額資産としての金額判定は、「事業利用部分」のみでなく、支出額全額で判定します。
 

(5)資本的支出・交換部品は対象に含まれない

40万未満の中小企業等の特例については、「中古資産」も含まれますが、既存資産にかかる資本的支出に該当するものは、実質的に「新たな資産の取得」となる場合を除き、原則として対象に含まれません。
例えば、既に使用している資産に係る「交換部品」の購入には、「少額減価償却資産」の適用はありません

 

3.判定の具体例

(1)国税庁での例示

 
「1取引」の判定例として、国税庁上は、以下が例示されています。

 ●応接セット・・1組で判定(通常、テーブルと椅子が1組で取引されるため)
 ●カーテン・・部屋ごとに判定(1つの部屋で数枚が組み合わされて機能するため)

 

(2)過去の裁判例(さいたま地裁判例H.16.2.4 内容要約)

●衣料品販売チェーンストアが、各店舗に「防犯用ビデオカメラ」を設置。
●防犯用ビデオカメラは、①監視カメラ ②コントローラー ③接続ケーブル ④テレビ ⑤ビデオで構成。
(①監視カメラ・④テレビ・⑤ビデオは、家庭用製品と同じもの)
●上記 ①~⑤の取引単位は?

(判決)

●④テレビ ⑤ビデオなどの家庭用製品は、通常「単独で取引単位」となるため、1品ごとに判定(監視目的で一体使用されていても、常に一体、一資産として捉えることは合理的ではない)。
●①監視カメラ ②コントローラー ③接続ケーブルは、「一体」として、「店舗ごと」に判定。
 

4.適用順序はどれを優先?

単価10万未満の固定資産は、全事業者が適用できる①(少額の減価償却資産)を適用します。
また、③については、「中小企業者等かつ青色申告」の要件がありますので、例えば上場会社など「中小企業者」に該当しない場合は、10万円以上20万未満の固定資産につき、②「一括償却資産」の規定を適用します。
一方、中小企業者等の場合は、10万以上40万円未満の固定資産につき、②と③どちらを優先して適用するのか・・迷われると思います。

この点、③(中小企業者等の特例)については、年間300万までの上限や、中小企業者、青色申告の要件があります。また、「償却資産税」の対象になるため、償却資産税への影響も考慮する必要があります。

ただし、償却資産税の税率は、そこまで高いわけではありません(課税標準×1.4%)。したがって、実務上は、年間支出額300万までは③中小企業者特例を適用し、超えたところから②「一括償却資産」を活用するケースがお得になることが多いかと思われます。

 

5.一括償却資産(単価20万円未満)の特例の会計処理

「一括償却資産」は、他の減価償却資産と異なり、償却期間中に除却・売却があった場合でも、「残存簿価」を減少させることはなく、簿価ゼロになるまで、毎年、1/3ずつの均等償却を継続する点が特徴的です。
 

【具体例】
● 3月決算
● 2026年1月 一括償却資産を18万円で購入
● 2027年2月 上記を10万円で売却 

 

借方 借方
購入時 一括償却資産 180,000 現金 180,000
決算時(2026年3月) 減価償却費 60,000 一括償却資産 60,000
売却時 現金 100,000 固定資産売却益 100,000
決算時(2027年3月・2028年3月共通) 減価償却費 60,000 一括償却資産 60,000

たとえ、償却期間中に売却した場合でも、「一括償却資産」は減少させず、通常通り1/3の減価償却を3年間継続します。
(なお、一括償却資産の償却は、たとえ期の途中で取得した場合でも、月割計上はなく、3年間で均等償却を行います)

「除却」の場合も同様に、「一括償却資産」の減少処理は行いません(除却時の仕訳は「なし」でOK)

なお、個人事業主の場合、「一括償却資産」や「少額減価償却資産」の売却は、「譲渡所得」ではなく、「事業所得」となる点にも注意が必要です。
 

6.参照URL

(少額の減価償却資産になるかどうかの判定)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5403_qa.htm

(No.5432 措置法上の中小法人及び中小企業者)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5432.htm

(一括償却資産を除却した場合の取り扱い)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/03.htm

(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm

(少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_01_02.htm

(減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5400.htm

 

7.YouTube

 
YouTubeで分かる「PC・プリンター購入時の特例」
 

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

はまだ税理士法人の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
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