税金の豆知識
Q242 【宿泊サイト利用】海外ホテルサイトを利用した「国内宿泊料金」の消費税の取扱い/インボイス番号がない領収書への対応は?
最終更新日:2026/06/115466view

出張の宿泊予約で、AgodaやBooking.comなどの「海外宿泊サイト」を利用するケースもあると思います。
海外出張に限らず、国内出張の場合でも利用するケースは多いです。
こういった「海外宿泊サイト」で「国内宿泊予約」をした場合、宿泊料の消費税の取扱いにつき、悩まれる方も多いかもしれません。
また、消費税インボイス制度では、インボイス番号がない領収書等は、原則として仕入税額控除ができません。
一方で、海外サイトを経由した支払の場合、領収書等に「インボイス番号」が記載されていないケースも多いため、「消費税仕入税額控除」ができるのか?・・・についても疑問が生じます。
今回は、「海外宿泊サイト」を利用して支払った「宿泊費」にかかる消費税の取扱いや、インボイス制度との関係をお伝えします。
目次
1. 消費税納税義務は、「サービス提供を受ける場所」で判断
消費税の納税義務の判断は、原則として、「サービス提供を受ける場所」で判定します。
例えば、「日本国内」のホテルに泊まる場合、「日本国内でサービス提供」を受けることになります。一方で、「海外ホテル」に泊まる場合は、「海外でサービス提供」を受けることになります。
したがって、たとえ海外サイトで予約・決済する場合でも、「日本国内ホテルでの宿泊」は消費税課税取引、「海外ホテルでの宿泊」は、消費税不課税取引(国外取引)と判断されます。
なお、「海外サイト」を利用した場合、領収書に「消費税が明示されていない」ケースも多いですが、こういった場合でも、上記の通り、「国内宿泊取引」については、「消費税相当額」が含まれています。
したがって、たとえ「海外サイト」を利用した場合でも、「国内宿泊取引」については、支払総額を税込額として、「課税仕入」で認識します(宿泊者が日本人、外国人で、消費税納税義務の判定が変わることもありません)。
2. インボイス判定は、現地ホテルの領収書?予約サイトの領収書?
消費税インボイス制度では、領収書等に「インボイス番号」がない場合、原則として、「仕入税額控除」ができません。
この点、「海外宿泊サイト」を利用した場合、「現地ホテルの領収書」あるいは「宿泊サイトの領収書」どちらで「インボイス番号」の有無を判断するのか?という論点です。
当該判断は、現地ホテルで事後決済するのか?宿泊サイトで事前決済するか?で取扱いが異なります。
以下、「国内宿泊取引」を前提に、現地ホテルの事後決済、宿泊予約サイトで事前決済(国内予約サイト・海外予約サイト)それぞれに分けてまとめます。
(1) 現地ホテルで事後決済の場合
「ホテル予約サイト」を利用した場合でも、宿泊サイトでの事前決済ではなく、現地ホテルで事後決済する場合は、「宿泊ホテルの領収書」で、インボイス番号の判定を行います。
(2) 国内宿泊予約サイトの場合
「ホテル予約サイト」で事前決済する場合、「現地ホテル側」は、実際の代金授受を行っていないため、領収書を発行しないケースが多いです。こういった場合は、実際に代金授受を行った「ホテル予約サイト」の領収書でインボイス判定を行います。
なお、インボイス制度では、実際宿泊するホテル側の領収書ではなく、予約サイト運営会社の領収書で代用できる仕組みが整備されています(媒介者交付特例)。
例えば、楽天トラベル、じゃらん、Yahoo!トラベルなど国内大手旅行会社では、「サイト運営者」自身が「適格請求書発行事業者」となっているため、利用者は、ホテル側からの領収書を取得しなくても、予約サイト運営会社の領収書(インボイス番号あり)を取得すれば、仕入税額控除が可能です。
【媒介者交付特例の要件】
● 予約サイト運営者が、適格請求書発行事業者であること
● 委託者(ホテル側)も、適格請求書発行事業者であること
実務上は、予約サイト運営者名義の領収書にインボイス番号が記載されていれば、「媒介者交付特例」で仕入税額控除可能です。一方で、サイトに登録しているホテル等が適格請求書発行事業者でない場合は、媒介者交付特例が使えないため、予約サイトは、インボイス付きの領収書を発行してくれません。
(3) 海外宿泊予約サイトの場合
一方、海外宿泊予約サイトの場合、サイト運営者が「適格請求書発行事業者」でないことが多いため、上記の「媒介者交付特例」の適用はできません。
この場合、領収書に「インボイス番号」が記載されていないため、仕入税額控除ができない・・ということになります。
つまり・・同じ国内宿泊先でも、「国内予約サイト」を利用するのか?「海外予約サイト」を利用するのかで、仕入税額控除の取扱いが異なってきます。
3. 海外予約サイト経由で消費税仕入税額控除ができるケースは?
海外予約サイト経由の「国内宿泊」で、仕入税額控除ができるケースは以下の通りです。
(1) 予約のみ海外予約サイト・支払は現地ホテル(事後決済)
予約サイトでは予約のみを行い、支払は現地で事後決済する方法です。この場合、現地で支払時にホテル側がホテル名義の領収書を発行してくれます。当該ホテルが適格請求書発行事業者であれば、インボイス番号を取得することが可能です。
(2) 予約・支払とも海外予約サイト(事前決済)
上記のとおり、「ホテル予約サイト」で事前決済する場合、「予約サイト」の領収書には、インボイス番号が記載されていないケースがほとんどです。
したがって、原則として、「仕入税額控除」はできない、ということになります。
ただし、厳密には、利用者からの求めがあれば、ホテル側に適格請求書交付義務があります(インボイスQ&A 49-2・消費税法57の4①)。あくまで、宿泊というサービス提供行ったのはホテルのため、ホテル側は代金を受け取っていない等の理由で「領収書」の交付を行わない場合でも、領収書以外、例えば、「宿泊明細書」などの様式で、適格請求書の記載事項を満たした書類を交付する必要があります(Q&A Q49―3)。
したがって、現地ホテルにおいて、適格請求書の記載事項を満たした「代わりの書類」を入手することで、仕入税額控除が可能となります。
なお、予約サイトが提供する「パックツアー」などの場合は、(ホテルではなく)あくまで予約サイト等が宿泊客にサービス提供を行ったものとなります。この場合は、予約サイト等に適格請求書の交付義務があり、宿泊ホテル側には交付義務はありません(Q&A Q49-3)。
(3) 出張旅費の特例を利用
決済方法に関係なく、消費税上、「出張旅費等に係る交通費や宿泊費」については、「帳簿保存での仕入税額控除特例」が認められています(出張旅費特例)。当該特例の要件を満たせば、インボイス番号のない領収書でも、「帳簿のみ」で仕入税額控除が認められます。
出張旅費特例は、「従業員等に対して支給する、通常必要と認められる範囲内のもの」に限定されます。したがって、例えば、外注先への支払や、事業主が、直接ホテル等に支払う場合などは「出張旅費特例」は利用できません。また、役員に対する支給は認められますが、フリーランスや個人事業主自身が行った出張については適用できません。
実務上は、出張旅費規定等を作成し、規定にしたがって支給をする出張旅費が対象となります。
4. ホテルから「適格請求書」をもらえない場合の対策
現実的には、予約サイトで事前決済した場合、現地ホテル側では、インボイスを発行しない「業界慣行」が確立されており・・実務上は問題となっています。
この場合、結果的に海外予約サイトの場合は、仕入税額控除ができないという結論になってしまいます。
したがって、現状、例えば、従業員が自由に海外ホテル予約サイトを使って「事前決済」しているような場合は、経費精算ルールや出張規程等を見直す必要性も生じます。
具体的には、以下のルールを整備する対応が考えられます。
● 国内出張の宿泊は、ホテルへの直接現地払いにすることで、インボイス付き領収書を必ず受け取る。
● 事前決済をする場合は、国内サイトで、媒介者交付特例でインボイスがもらえるサイトを選択する
● 出張旅費規程を設け、出張旅費特例を利用する
5. ご参考 海外サイトの手数料は?
なお、国内ホテル側の立場では、予約サイトに対して、「予約システム」の利用手数料を支払っています。海外予約サイトに支払う手数料は、「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当し、消費税課税取引、役務提供を受けるホテル側に消費税申告納税義務が転換されます(リバースチャージ方式)
6. 参照URL
インボイス制度に関するQ&A
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_invoice_mokuji.htm
7. YouTube
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