税金の豆知識
Q249【出張旅費】 国内・海外出張の消費税課税判断/実務上で迷いやすい事例・税務調査でのポイント/出張旅費特例との関係は?
最終更新日:2026/07/1711view

出張旅費については、法人税上、「通常必要と認められる部分」であれば、経費に認められます。
一方で、消費税については、「国内出張か?海外出張か?」「日当か?支度金か?」などによって課税区分が異なり、実務上、判断に迷うケースも多いです。
今回は、国内・海外出張にかかる消費税上の取扱いや、実務上迷いやすい事例をお伝えし、領収書やインボイスがなくても仕入税額控除が可能な「出張旅費特例」との関係を解説していきます。
目次
1. 国内出張と海外出張で、なぜ消費税の取扱いが異なるのか?
消費税は、「日本国内で行われる資産の譲渡等」に課税される税金です。
したがって、出張に係る消費税区分は、国内出張関連費用は、「消費税課税取引」、海外出張関連費用は、消費税不課税取引(国外取引)に区分されます。
以下、国内出張、海外出張に分けて、それぞれの論点を解説していきます。
2. 国内出張旅費等の場合
上記の通り、「国内出張旅費」の場合は、消費税課税取引となりますが、税務調査では、①出張旅費の範囲や、②出張旅費特例との関係が論点になりやすいです。
(1) 出張旅費の範囲(通常必要と認められる部分)
役員、従業員等に支給する旅費、宿泊費、日当のうち、「通常必要と認められる部分」につき、「課税仕入」として認められます。
【通常必要と認められる部分とは】
出張の目的・経路・期間の長短等を総合的に勘案して、客観的に妥当な範囲の金額が「通常必要と認められる部分」となります(「実費弁済」の考え方)。
例えば、社内旅費規程に基づき、「役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準」や「同業種・同規模他社と比べて相当な金額」であれば、「通常必要な部分」と認められます。一方で、グリーン車等に相当する過度な水準が一律支給されている場合や、役職に比して極端に高い日当が支給されている場合は「給与認定」されるケースもあります。
したがって、「出張旅費規定」などで、水準を明文化しておく必要があります。
なお、「通常必要と認められる部分」の概念は、法人税上の「必要経費」の判定でも同じように利用します(所得税上の「非課税の旅費日当等」(所基通9-1-3)の規定をもとに、法人税・消費税どちらも、同じ判定も行っています)。
例えば、「通常必要と認められる部分を超えた高額な支給」を行う場合、超過部分は、所得税上は給与課税の対象、法人税上は損金不算入、消費税上は、仕入税額控除の対象外となります。
(2) 出張旅費特例
「通常必要と認められる国内出張旅費」の場合でも、インボイス番号がない領収書の場合は、原則として、消費税仕入税額控除ができません。
しかしながら、「少額かつ回数の多い出張費」にまでインボイス番号を求めると、実務上の負担が多くなります。そこで、消費税上、インボイスがなくても、「帳簿記載」だけで仕入税額控除が認められる「出張旅費特例」が認められています。
(3) 出張旅費特例の要件
出張旅費特例の要件として、以下の要件を満たす必要があります。
| ① | 会社から従業員等に直接支出 | ● 従業員が立て替えた出張旅費等を従業員に直接支給した金額が対象 ⇒法人カード払いや会社からホテル等に直接払った場合は、対象外。 |
|---|---|---|
| ② | 通常必要と認められる部分 | ● 出張に通常必要な交通費・宿泊費・日当で、相場から見て妥当な水準の金額が対象 ⇒正当な出張に関する支出ではないケースや、相場を大きく超える過大な出張旅費等は対象外 (=給与課税されます) |
| ③ | 帳簿に必要事項を記載 | ● 従業員の氏名 ● 出張の目的地・期間・目的等 ● 支給した出張旅費の金額 ● 課税・非課税区分・税率区分(10%・8%) |
なお、出張旅費特例は、あくまで「消費税の規定」のため、「法人税の必要経費」という観点からは、別途、「証憑の保管」が必要となります。
3. 海外出張旅費等の場合
法人税上は、たとえ海外出張旅費の場合でも、「通常必要と認められる部分」のみが必要経費となります。一方で、消費税上は、そもそも国外取引のため、「通常必要か否か」に関わらず、不課税取引となります。例えば、海外ホテル代、現地タクシー代、現地飲食代など、国外で受けたサービスの対価は、消費税不課税取引となり、仕入税額控除ができません。海外出張日当も消費税課税対象外となります(「出張旅費特例」も対象外)。
(1) 実務上迷いやすい例
海外出張関連費用だからといって、支出額全額が、一律「消費税不課税取引」となるとは限りません。海外出張関連費用でも、「国内部分が混じる場合」は注意が必要です。海外現地費用は不課税、国内部分は課税取引となります。
ポイントは、「役務提供地が国内か海外か?」「旅費・日当か?支度金か」となります。
| 消費税対象外 | 消費税課税 |
|---|---|
| ● 国際線航空運賃(輸出免税) (超過手荷物料金等も含む) ● 海外現地でのタクシー代・海外現地宿泊費、サービスチャージ等(※) ● 海外現地飲食費・会議費・通信費 ● 海外出張日当手当 ● 海外出張者との国際電話・通信 |
● 自宅から日本国内空港までの国内交通費 ● 出発前日の国内宿泊費 ● 日本の旅行会社への発券手数料等 ● 渡航前のビザ取得代行手数料・国内研修等 ● 海外会議を伴う国内出張旅費 ● 海外出張支度金 |
(※)国内オンラインサイトでの予約でも同様です。詳しくはQ242をご参照ください
なお、例えば「伊丹⇒成田⇒ロンドン」のように、国内区間を含む国際航空券を一括購入した場合、実務上は、「航空会社側の請求書・明細表示(国内・国際の区分の有無)」で判断します。明示されていないケースは、一般的な料金等「合理的な按分基準」で按分します。(按分した結果、国内役務提供部分は課税仕入・出張旅費特例の対象)
同様に、国内滞在期間も含めて一律で日当を支給する場合も、按分が必要となります。
(2) 海外出張支度金の取扱い
支度金とは、出張特有の準備・携行品等の購入費用に充てるために、会社が役員・従業員へ支給する旅費の一種です。海外出張旅費規程で、「海外出張の準備に充てる費用」と定義し、役職、期間などで定額支給するケースが一般的です。日当・宿泊費・等と並ぶ旅費の一項目と位置付けられます。
海外出張の「支度金」は、通常、「出張前の国内での準備」に使われる費用と考えられるため、「通常必要と認められる部分」については、消費税課税仕入となります(法人税上も損金算入)。
4. ご参考~出張旅費規定
「出張旅費」については、税務上、「通常必要と認められる部分」かどうか?という点が論点になりやすいです。したがって、出張旅費規程を作成しておく方が安全です。「出張旅費規定」とは、「出張の際に、会社が、どの費用をどこまで・いくら負担するか」を決めた社内ルールです。
(1) 出張旅費規程に記載する項目
一般的に、以下の項目を含めます。
| 項目 | 内容 | |
|---|---|---|
| ① | 出張の定義づけ | 距離・時間・宿泊の有無など、出張の定義づけ |
| ② | 支給対象者 | 役員だけか?全従業員か、パート等も含めるか |
| ③ | 支給項目 | ● 交通費・宿泊費・日当など支給の範囲を決める ● 日当に含まれる費目を記載してもOK |
| ④ | 金額 | ● 日当・宿泊費など具体的に支給する金額を決定 ● 日帰り出張と宿泊出張・あるいは国内・海外出張で支給金額が異なるのが一般的 |
| ⑤ | 精算方法 | 添付する精算書・請求期限・支払時期などを記載する |
● 国内出張の場合、会社が直接支払う場合と、従業員が立替する場合で「出張旅費特例」適用の有無が変わるため、支払のルールなどを明記するケースもあります。
● 海外出張では、外貨の円換算方法や、国、地域別に日当金額に差異を設ける、ビジネスクラス利用の条件などを記載するケースもあります。
● 事前申請の手続や、事前仮払のルールなどを記載することも考えられます。
【出張旅費規定のサンプル】
「出張旅費規程」「出張旅費精算書」のサンプルは、Q144をご参照ください。
5. 参照URL
No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6459.htm
出張旅費、宿泊費、日当等に係る仕入税額控除の適用要件
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/08.htm
6. YouTube
Coming soon
【関連記事】



