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Q208【1室で65万控除可能なケース】事業所得+不動産所得の場合の青色申告/65万円控除の順番は?/損益通算との関係

最終更新日:2024/01/19

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Q208【事業所得と不動産所得がある場合の青色申告】65万円を控除する順番は?/損益通算との関係は?/マンション1室で65万控除可能なケースも

「事業所得又は不動産所得」を有する個人事業主の場合、青色申告で確定申告を行うと、最大65万円の青色申告特別控除(=経費)が認められています。

この点、「事業所得」と「不動産所得」の「両方の所得」が発生する個人事業主の方もおられると思います。
こういった場合、「青色申告特別控除」を、どちらの所得から優先的に控除するのか?迷いが生じます。
また、マンション1室の不動産所得でも65万円控除が可能なケースもあります。

今回は、「事業所得」と「不動産所得」の両方がある場合の①65万円控除の順番や、②損益通算との関係等を中心にお伝えします(今回は、不動産所得は「事業所得」に該当しないものとします)。

 

1. 65万円控除の要件は、事業所得と不動産所得で異なる

青色申告特別控除を受けることができる方は、「事業所得又は不動産所得」を有する方に限定されています
(租措法25条の2Ⅲ)。
ただし、青色申告特別控除につき、「最大額65万円控除」できる要件は、事業所得と不動産所得で異なります。
以下の通りです。

 

(1) 事業所得の場合

以下のすべての要件を満たす必要があります。

● 青色申告の承認を受けている。
● 正規の簿記の原則に従った帳簿(複式簿記)を作成。
● 確定申告書に必要な決算書(BS、PL等)を添付。
● 確定申告書を提出期限までに提出。

不動産所得と異なり、事業所得の場合は、「事業的規模」の要件はありません。

 

(2) 不動産所得の場合

不動産所得の場合、上記の要件に加え、「事業的規模」を満たさなければ「65万円」の控除は受けられません(事業的規模以外の場合は10万円控除)。「事業的規模」かどうかは、戸建てであれば5棟以上、マンション等であれば10室以上とされています。詳しくはQ62ご参照ください。

 

2. 事業所得と不動産所得の両方がある場合は?

(1) 事業所得で利用できなかった65万控除の取扱い

「事業所得の65万円控除」の要件を満たしている場合でも、例えば、事業所得の金額が少なく、「青色申告特別控除が一部利用できずに余ってしまう」ケースがあります。こういった場合、不動産所得から最大65万円を控除することが可能です。この場合の注意点は、不動産所得の「事業規模要件」を満たさない場合でも、不動産所得から、(10万控除ではなく)最大65万円を控除することができる点です。

 

国税庁HP抜粋(一部加工)
【業務的規模の不動産所得と赤字の事業所得がある場合の青色申告特別控除】
照会者の不動産所得は業務的規模(=事業的規模でない)・・しかしながら、照会者には事業所得もあるとのことですので、たとえそれが赤字であったとしても照会者は「事業所得を生ずべき事業を営む者」に該当することになります。したがって、照会者は、・・業務的規模の不動産所得の金額を限度として・・青色申告特別控除・・の適用を受けることができます。

 

(2) マンション1室でも65万控除可能

上記の通り、事業所得がある場合は、不動産所得がたとえ「事業的規模」の要件を満たさない場合でも、不動産所得から最大65万円の控除が可能です。つまり、「事業所得の65万円控除の要件」を満たしていれば、たとえ不動産所得がマンション1室の賃貸のみの場合でも、65万円控除ができるケースがある、ということになります。
誤って「10万円控除」を適用する事例も多いですので、注意が必要です。

 

(3) 不動産所得の「貸借対照表添付」は不要

事業所得については複式簿記帳簿を作成しているものの、不動産所得は「事業的規模」を満たさないため、簡易帳簿しか作成していないケースもあると思います。
こういった場合でも、事業所得につき、複式簿記による貸借対照表を添付していれば、不動産所得から65万円の青色申告特別控除を受けることができます(租措法第25条の2Ⅲ)。
不動産所得について、複式簿記による記帳・貸借対照表の添付は、必ずしも必須とされていません。

 

3. 65万控除の順番や損益通算・繰越控除との関係

事業所得と不動産所得の両方がある場合は、下記の4パターンに区分されます。

事業所得 不動産所得
パターン1 黒字 黒字
パターン2 赤字 赤字
パターン3 黒字 赤字
パターン4 赤字 黒字
(1) パターン1 どちらも黒字の場合

事業所得、不動産所得ともに黒字の場合は、両所得合わせて、最大65万円の控除が可能です。この場合、青色申告特別控除の順番は、まず不動産所得から控除し、控除しきれない残額がある場合に、事業所得から控除します。
なお、2つの所得があるからといって、65万円×2=130万円控除できるわけではありませんので、ご留意ください。

 

(2) パターン2 どちらも赤字の場合

この場合は、65万控除の適用はありません。青色申告特別控除は、あくまで所得から差し引くものですので、所得がない場合は控除できません。赤字額からさらに65万控除して損失申告できるわけではない、点に注意が必要です。なお、両所得の赤字額は、3年間の損失繰越が可能です。

 

(3) パターン3 事業所得が黒字、不動産所得が赤字

この場合は、事業所得から最大65万円を差し引きます。ただし、あくまで、事業所得の額が上限となり、差し引けなかった部分は切り捨てとなります。

 

なお、65万円差引後に、事業所得がプラスで残る場合は、赤字の不動産所得との損益通算が可能です。また、損益通算後も、なお残る不動産所得の赤字は、3年間の損失繰越が可能です。
青色申告特別控除が先、損益通算が後になりますので、ご留意ください。

【国税庁タックスアンサーNo.2072 青色申告特別控除】
(注2)不動産所得の金額または事業所得の金額の合計額が55万円(65万円)より少ない場合には、その合計額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいますので、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。

 

(4) パターン4 事業所得が赤字・不動産所得が黒字の場合

この場合は、不動産所得から最大65万円を差し引きます。ただし、あくまで、不動産所得の額が上限となり、差し引けなかった部分は切り捨てとなります。
また、パターン3同様、65万円差引後に、不動産所得がなおプラスで残る場合、赤字の事業所得との損益通算や、3年間の損失繰越が認められます。

 

4. 具体例

● 青色申告の要件を満たす個人事業主(最大65万円控除可能)
● 事業所得と不動産所得の両方を有しているが、不動産所得については「事業的規模」要件を満たしていない。
● 先ほどの4パターンごとの「青色申告特別控除」の適用可否は?

【まとめ】

事業所得 不動産所得 結論
パターン1 +30万円
(黒字)
+30万円
(黒字)
まず、不動産所得から30万控除、その後に事業所得から30万控除。
⇒ 残5万円は切り捨て。
パターン2 △30万円
(赤字)
△30万円
(赤字)
青色申告特別控除なし
⇒ それぞれの赤字30万円は、3年間損失の繰越が可能
パターン3 +30万円
(黒字)
△30万円
(赤字)
事業所得から30万円控除、残35万円は切り捨て
⇒ 不動産所得の赤字30万円は、3年間損失の繰越が可能(※)
パターン4 △30万円
(赤字)
+30万円
(黒字)
不動産所得から30万円控除、残35万円は切り捨て
⇒ 事業所得の赤字30万円は3年繰越可能(※)

(※)青色申告特別控除と損益通算の順番を間違うと、損失の繰越額が変わってきますので、十分留意が必要です。

 

5. 消費税申告に注意

事業所得と不動産所得がある場合でも、消費税は納税者単位で判定・計算する必要があります。特に消費税納税義務の判定は、事業所得だけでなく、不動産所得も含めて課税事業者の判定をする点に注意が必要です。

 

6. ご参考~不動産所得は事業所得か雑所得か?

例えば、会社員の方が、副業で不動産賃貸を行っている場合、税務署から「事業所得ではなく雑所得」と指摘されるケースもあります。雑所得の場合は「青色申告65万控除」がありません。こちらについては、Q200をご参照ください。

 

7. 参照URL

(No2072 青色申告特別控除)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm

(業務的規模の不動産所得と赤字の事業所得がある場合の青色申告特別控除)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/07/05.htm

(事業としての不動産貸付けとの区分)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm

 

8. YouTube

 

YouTubeで分かる「1室で65万控除可能なケース」
 

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