税金の豆知識

  • ホーム
  • 税金の豆知識
  • Q175【消費税還付】「消費税課税事業者選択届・不選択届」を提出するケース/出し忘れでよくある事故の事例

Q175【消費税還付】「消費税課税事業者選択届・不選択届」を提出するケース/出し忘れでよくある事故の事例

最終更新日:2022/09/11

8209view

Q175【還付が受けられない!】 「消費税課税事業者選択届」の提出忘れで消費税還付が受けられない?事故が起きやすい事例を解説 

消費税は「届け出」の税金といわれます。届出を忘れると適用できない制度が多いため、提出するタイミングを怠ると、大きな損をする可能性があります。
そこで今回は、消費税関係届出書のうち、「消費税課税事業者選択届」(以下「選択届」と略します)、「消費税課税事業者選択不適用届」(以下「不選択届」と略します)を提出するケースや、事故が起きやすい事例につき解説します。
 
次回は「簡易課税選択届」「簡易課税不選択届」をお伝えします。

 

1. 消費税課税事業者選択届を提出するケース

(1) 内容・提出期限
内容 免税事業者が、あえて「課税事業者」を選択する際に提出する書類
提出期限 原則:適用したい課税期間開始日の前日まで
例外:事業「開始」(or設立)年度の場合は、開始(設立)事業年度末までOK
(2) どういった場合に提出?

消費税原則課税を選択し、「消費税課税事業者」の場合、「支払消費税>受取消費税」の状況で消費税が還付されますが、「免税事業者」の場合は、たとえ上記の状況であっても、消費税還付を受けることができません。
例えば、設立2年間は、原則として「免税事業者」ですので、「免税事業者」である以上、消費税還付の請求ができません。そこで、消費税免税事業者が、消費税還付を受けることを目的に「選択届」を提出します。
消費税還付の仕組みについては、Q170で図を使って解説していますのでご参照ください。

具体的には、以下のケースで提出することが考えられます。

初年度の仕入や設備投資が多く、
大きな赤字が見込まれる
設立間もない会社では、仕入や設備投資等の初期費用が多く、「支払消費税>受取消費税」の状況になる場合があります。こういった場合、「選択届」を提出することで、消費税の還付を受けることが可能です。
輸出売上が多い場合 輸出売上は「免税取引」、つまり消費税を受け取っていません。したがって、「輸出売上」が多い場合は、「支払消費税>受取消費税」の状況になる場合が多いです。そこで、輸出売上をメインとする会社は、「選択届」を提出することで、消費税の還付が受けることが可能です。

なお、簡易課税の場合は還付を受けることができませんので、消費税課税事業者選択届を提出する場合は、「原則課税」を選択するケースとなります。

(3) 注意事項
2期間「継続適用」が強制される
⇒2年トータルでの判断が必要
「消費税課税事業者」を選択した場合、2期間「継続適用」が強制されます。つまり、初年度に「赤字」や「輸出売上が多い」場合でも、2年目に「黒字」や「国内売上が多く見込まれる」場合は、2年目に納税が発生してしまい。2年トータルで見ると損をする可能性があります。
したがって、「選択届」を提出するかどうか?は、今後2年間の状況を予測したうえで判断する必要があります。
「調整対象固定資産」を取得した場合 調整対象固定資産を取得した場合は、上記の継続適用が、実質3年縛りとなります。
(4) 事故が起きやすい事例

消費税課税事業者選択届で、事故が起こりやすい事例は、単純に「期限」を間違いて提出を失念するケースです。
例えば、輸出100%の会社や、大きな設備投資を予定しているにもかかわらず、提出を失念していたケースです。
提出時期が、「適用したい課税期間開始日の前日まで」となっており、提出期日が早いですので、十分な留意が必要です。
 

2. 消費税課税事業者選択不適用届を提出するケース

(1) 内容・提出期限
内容 課税事業者選択事業者が「免税事業者」に戻りたい場合に提出する書類
提出期限 原則:適用をやめたい課税期間開始日の前日まで
(2) どういった場合に提出?

課税事業者を選択して「還付」を受けていたが、売上増加等により、「支払消費税<受取消費税」となる場合は、「課税事業者」を選択するメリットがなくなりますので(消費税納税となる)、「不適用届」提出します。
提出する場合は、「選択届」を提出した状況と「逆の状況」になった場合です。具体的には、以下のケースが考えられます。
 

黒字になった場合 従来は大赤字で「還付」を受けていたが、黒字転換して「消費税納付」の状況に変わる場合は、「課税事業者」を選択するメリットはありません。そこで「不適用届」を提出し、「免税事業者」に戻ります。
輸出売上が少なくなった場合
(=国内売上が多くなった場合)
従来は輸出が多かったが、国内売上(課税売上)が増加する状況に変わる場合は、「課税事業者」を選択するメリットはありません。そこで「不適用届」を提出し「免税事業者」に戻ります。
(3) 注意事項
基準期間の課税売上高が1,000万円超の場合は提出不可 基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円超の場合は、そもそも「免税事業者」の選択自体ができませんので、提出できません。
2年縛り終了後でしか提出できない。 先ほどお伝えした通り、課税事業者選択には「2年縛り」がありますので、「不適用届」の提出時期に制約があります。
(調整対象固定資産の取得がある場合は「3年縛り」)
(4) 事故が起きやすい事例

過去に「選択届」を提出していたことを失念し、「免税事業者」と勘違いして消費税申告及び納税を忘れるケースです。「選択届」は、「不適用届」を提出しない限り、その効力は継続しますので、「課税事業者」が続きます。具体的には、以下のケースです。

普段は課税売上高が1,000万円を超えるため「消費税申告」をしているが、たまたま基準期間(2年前)の売上が1,000万以下になった場合

基準期間の課税売上高が1,000万以下になったことで、「免税」になるものと勘違いして「消費税申告書」の提出を忘れるケース。過去に「選択届」が提出されている以上、基準期間の課税売上が1,000万以下の場合でも、「課税事業者」が強制適用されます。

特に、税理士が変わった場合は、過去に提出していた「選択届」の存在を知らず、「消費税申告」を失念してしまうケースがありますので、十分注意しましょう。

 

3. 届出を忘れた場合の対応

(1) 課税期間の短縮

「消費税計算期間」は原則として1年単位ですが、3カ月or1か月に課税期間を短縮することが可能です。もし、「届出書」の提出漏れに気づいた場合は、「課税期間を短縮」するで「新たな課税期間の前日」までに「届出書」を提出すると、影響を最小限に抑えることが可能です。

 

(2) 決算期の変更

法人の場合は、決算期を自由に変更できます。もし「届出書」の提出漏れに気づいた場合は、「決算期を変更」することで、「新たな年度の前日」までに「届出書」を提出すると、影響を最小限に抑えることが可能です。

 

3. 「選択届」提出時期の特例

「選択届」の提出時期は、原則として「適用したい課税期間開始日の前日」となります。
ただし、事業「開始」年度に関しては、「その事業年度末まで」提出期限猶予の特例が認められています(消9④、消令20)。
その他、以下の例外が認められています。

(1) 2年以上休業状態事業者の特例

2年以上「国内課税資産等の譲渡や課税仕入等がない状態」で、再び事業を開始した場合(課税資産の譲渡等)」にも認められています。この場合、提出時期は、再開した「事業年度末」に延長されます(消基通1-4-8)。
なお、休業期間中、少なからず「課税仕入」がある場合でも、休業期間中に「課税資産の譲渡(=売上)」自体がない場合は、「課税資産の譲渡に直接関係のある課税仕入ではない」ものとして、原則通り「休業時の提出時期延長特例」が認められるようです(税務通信 NO 3614)
あまり知られていない条文ですが、意外と大事な論点ですので、ご留意ください。

 

(2) インボイス制度開始に伴う特例

免税事業者が登録を受けるためには、原則として、「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となる必要がありますが、適格請求書発行事業者登録日が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中の場合は、課税選択届出書を提出しなくても、登録日から課税事業者となる経過措置が設けられています。
この場合は、課税選択届出書を提出する必要はありません。
 

6. 参照URL

(消費税課税事業者選択不適用届)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_01.htm

(消費税課税事業者選択不適用届)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_02.htm

(インボイス制度 お問合せの多い質問 令和4年8月31日掲載)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0521-1334-faq.pdf

 

7. YouTube

Coming Soon

 

関連記事




濱田会計事務所への無料ご相談・お問い合わせは0120-932-116まで

まずは無料面談からお話をお聞かせください。
どんな些細なお悩みでも結構です。
お電話お待ちしております。

0120-932-116

お問い合わせはこちら