税金の豆知識
Q221【自動車税精算金】中古車購入時の自動車税・自賠責保険料の会計処理/消費税の取扱い
最終更新日:2024/09/19140view
中古車売買の際、自動車税や自賠責保険料の日割分を「売主買主間」で精算するケースがあります。こういった「自動車税等の精算金」は、税務署や保険会社に直接支払うものではないため、経費で計上できるのか?車両本体で計上するのか?疑問が生じます。
そこで今回は、中古車売買時に支払われる「自動車税・自賠責保険料精算金」の会計処理や、消費税の取扱いにつき解説します。
目次
1. 自動車税・自賠責保険料の納税・支払義務
(1) 自動車税の納税義務者
車を所有する方には、毎年自動車税が課税されます(県税)。自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に納税義務が発生
します。したがって、4月2日以降に購入した場合、買主側は、次の4月1日になるまで「自動車税」の納税義務は発生しません。
(2) 自賠責保険料の支払義務者
自賠責保険料は、新規登録や車検を受ける際、次回の車検までの期間、加入が強制される保険です。自賠責保険料は、新規登録や車検を受ける時点の所有者に支払義務が生じます。したがって、登録or車検以降に購入した場合、買主側は、次の車検になるまで「自賠責保険」の支払義務は発生しません。
なお、自賠責保険は、運転者ではなく、あくまで自動車本体が加入する保険です。したがって、たとえ車を売買する場合でも、保険は消滅せず、所有者名義が変更されます(自動車抹消手続をした時点で、初めて保険は消滅)。
2. 自動車税・自賠責精算金の税法上の取扱い
(1) 自動車税・自賠責精算金とは?
自動車税や自賠責保険料は、「一定時点の所有者」に納税・支払義務が生じるため、車を売買する場合、買主は、次回の「一定時点」まで、納税・支払義務が生じないことになります。そこで、売主・買主間での資金負担公平性の観点から、中古車売買の際には、売買以後の「未経過期間」に対応する自動車税、自賠責保険相当額を、買主から売主に支払することが一般的です(以下、「自動車税・自賠責保険料精算金」と呼びます)。
(2) 税法上の取扱い
「自動車税・自賠責保険料精算金」は、都道府県や保険会社に支払う「自動車税や自賠責保険料」そのものではなく、売主・買主間で授受されるものです。したがって、当該精算金は、税務上、「売買契約の代金の一部」と取り扱われます(消基通10-1-6)。
(3) 勘定科目と消費税課税区分
県税事務所や保険会社に、自動車税、自賠責保険料を支払う場合は、経費で計上できます(租税公課or保険料)。消費税は不課税取引となります。一方、中古車売買時に授受される「自動車税・自賠責保険料精算金」は、税金や保険料そのものではなく、売買代金の一部となりますので、売主側は収入、買主側は車両運搬具(資産)で計上します。
消費税区分は、車両本体購入と同様に「課税仕入」と取り扱われます。
(4) リサイクル預託金は?
中古車を売買する際には、自動車税・自賠責保険料精算金の他、「リサイクル預託金相当額」も同様に譲渡されます。リサイクル預託金の内容は、「将来の車両廃棄費用の前払金」であり、廃車するまでは損金にできません。したがって、当該預託金相当額の支払額は、「預託金」等の資産で計上します。また、単に「預託された資金」のため、金銭債権の譲渡となり、消費税非課税取引となります(法別表第ニ2、令9 四)
【中古車購入時の勘定科目・消費税区分】
勘定科目 | 消費税課税区分 | |
---|---|---|
車両本体、付属品 | 車両 | 課税仕入 |
自動車税等、自賠責保険料精算金 | 車両(※) | 課税仕入(※) |
リサイクル預託金 | 預託金等 | 非課税 |
(※)新車の場合、勘定科目は「租税公課」or「保険料」、消費税は不課税。
3. 具体例
● 上記の他、自動車税200、自賠責保険料300、リサイクル預託金100(すべて税抜)を支払った。
● 消費税は税抜処理、簡便的に、自賠責保険料の前払処理は無視する。
中古車購入時の「自動車税・自賠責保険料精算金」は、「売買価額の一部」と取り扱われるため、車両本体価格と同様に処理します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
車両運搬具(車両本体)(課税) | 10,000 | 現金 | 11,650 |
車両運搬具(自動車税)(課税) | 200 | ||
車両運搬具(自賠責)(課税) | 300 | ||
預託金(リサイクル預託金)(不課税) | 100 | ||
仮払消費税 (※) | 1,050 |
(※) (10,000+200+300)×0.1=1,050
4. ご参考 固定資産税精算金
中古の土地建物を購入する場合、「固定資産税精算金」を支払うケースがあります。
当該「固定資産税精算金」の取扱いも、今回の自動車税や自賠責保険料と同様です。
不動産の取得価額を構成するため、勘定科目は「土地・建物」で計上します。
消費税の取扱いは、土地の固定資産税精算金は非課税取引、建物の固定資産税精算金は課税取引となります。
【未経過固定資産税等の取扱い】 国税庁より抜粋
5. 参照URL
中古車販売における未経過自動車税等の取扱い
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/41.htm
未経過固定資産税等の取扱い
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/33.htm
6. YouTube
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