税金の豆知識
Q247 【最大17% 税額控除】中小企業技術基盤強化税制とは?研究開発費で税金を賢く減らす方法!
最終更新日:2026/06/118view

税制上、「研究開発投資」に関しては、いくつかの優遇税制が認められていますが、「中小企業者等」を対象に、特に優遇された制度があります。「中小企業技術基盤強化税制」と呼ばれています。
一般の研究開発税制よりも「控除率」や「上限」が優遇されています。
今回は、「中小企業技術基盤強化税制」の内容や、適用できるケース、税額控除額にの具体的な計算方法につき解説します。
目次
1. 中小企業技術基盤強化税制とは?適用できる人は?
「中小企業技術基盤強化税制」は、中小企業が行う研究開発の支出(=税法上の試験研究費)に対して、法人税等から一定割合を控除できる税額控除制度です。「試験研究費」×一定割合(おおむね12〜17%)を、法人税額から控除できます。
なお、一般の研究開発税制(試験研究費の総額にかかる税額控除)との重複適用はできませんので、どちらか選択適用となります。
(1) 適用対象となる事業主
「中小企業技術基盤強化税制」を適用できる事業主は、青色申告の「中小企業者等」です。「中小企業者等」とは、基本的には資本金1億円以下の事業者等となりますが、細かな要件がありますので、詳細は、Q233をご参照ください。
法人だけではなく、個人事業主にも認められます。
(2) 対象となる試験研究費の内容は?
「中小企業技術基盤強化税制」の対象となる「試験研究費」は、技術の改良、新製品の開発、新サービスの研究などに直接要した費用です。現に生産中の製品の製造、既存技術改良等のための試験研究も含まれます。
具体的には、次のものなどが列挙されています(中小企業庁)。
● 材料費や試作費など、新製品・新技術の開発に使った費用。
● 外注研究費・委託研究費など、外部に委託した研究開発費。
● 社員の人件費のうち、研究開発従事部分、試験研究用資産の減価償却費
(人件費は、試験研究業務に「専ら従事」する者の人件費に限定)
一方で、単なる設備の保守費用や、日常的な品質検査、販売促進のための試供品などは、試験研究費に該当しません。詳細はQ194をご参照ください。 Q194リンク
なお、税務調査上は、「試験研究費」に該当するかどうか?が論点になるケースが多いです。
したがって、試験研究費を把握する際は、以下の点に留意する必要があります。
| 研究開発プロジェクトの整理 | 研究開発開始時点で、研究目的、予算、スケジュールなどを明確にしておき、文書化しておく。 |
|---|---|
| 費用の区分管理 | 会計単位として、研究開発部門を区分する。テーマごとのプロジェクトコードを発番し、材料費、人件費、外注費などの開発費用を集計する。 |
| 根拠資料の整備 | 研究開発との関連を説明できるよう、契約書・見積書・プロジェクト資料などの根拠資料を整備する。 |
2. 控除額の計算
税額控除額は、以下の式で算定します。
当期の試験研究費 × 税額控除率(12〜17%)
なお、「中小企業技術基盤強化税制」は、「総額型」の税額控除のため、例えば、前年と比べて試験験研究費の増加がゼロ、あるいはマイナスの場合でも、税額控除の適用が可能です。
ただし、「税額控除率」は、試験研究費の増減割合に応じて異なります。したがって、「税額控除率」を算定するために、「増減試験研究費」を算定していくステップがあります。
「税額控除額」の具体的な計算ステップは、以下の通りです。
(1) 当期の試験研究費・比較試験研究費・増減試験研究費の算定
| ① | 当期の試験研究費の集計 | 当期の試験研究費を集計 |
|---|---|---|
| ② | 比較試験研究費の集計 | 前3年以内開始各事業年度の試験研究費の額の平均額を集計 |
(2) 増減試験研究費割合の算定
上記(1)より、増減試験研究費割合を算定します。以下の式で算定します。
なお、「増減試験研究費割合」がマイナスの場合でも、税額控除自体は可能な点、注意が必要です。
(3) (通常)税額控除率の算定
税額控除率は、原則として12%となりますが、上記(2)で算定した「増減試験研究費割合」が12%超の場合、最大17%まで上乗せがあります。「増減試験研究費割合が12%超」の場合の控除率は、以下の式で算定されます。
12% +(増減試験研究費割合 − 12%)×0.375(最大17%)
(4) 割増控除率が適用できるケースあり
上記(3)までの控除率は、「通常控除率」と呼ばれます(増減試験研究費割合による上乗せも含む)。一方で、「一定」の場合、上記の「通常控除率」が、最大1.1倍できる特例が認められています(上限は17%)(以下、当該割増控除率につき、「通常控除率」と区別して、「割増控除率」と称します)。「一定」の場合とは、売上高に対する試験研究費比率の4年間平均が10%超の場合です。
割増控除率が適用できるケース = 平均売上高試験研究費割合が10%t超のケース
(※)平均売上高試験研究費割合は以下の式で算定します
上記の要件を満たす場合、「割増控除率」は、以下の式で算定されます。
割増控除率=(平均売上高試験研究費割合-10%)×0.5 (上限は0.1)
「割増控除率」の上限は0.1となっていますので、最大で、「通常控除率」が1.1倍できるということになります。
(5) 税額控除額の算定
上記(4)までで算定した税額控除率を用いて、税額控除額を算定します。
当期の試験研究費 × 税額控除率(12〜17%)
3. 法人税の控除限度額
「上記2」までで算定した税額控除額は、全額控除できるわけではありません。原則として、当期の法人税額×25%までの上限があります。
ただし、次のいずれかを満たす場合、控除限度額が10%分上乗せされ、最大で、35%まで控除が可能です。
【法人税額×35%までの上限が認められるケース(いずれか満たせばOK)】
| 増減試験研究費割合 | 12%超 |
|---|---|
| 4年間の平均売上金額に占める試験研究費の割合 | 10%超 |
4. 計算の具体例
● 比較試験研究費(前3期平均):1,000万円
● 当期試験研究費:1,200万円
● 4年間平均売上高試験研究費割合 20% とします。
● 当期の法人税額は300万円
(1) 増減試験研究費割合の算定
(2) 通常税額控除率の算定
増減試験研究費割合が12%を超えているため、最大17%までの上乗せができます。
通常控除率 = 12% + (20%−12%) ×0.375=15%(上限17%まで)
(3) 割増控除率の算定
平均売上高試験研究費割合が20%>10%のため、割増控除率の適用が可能です。
割増控除率=(20% - 10%) × 0.5 = 5% (上限は0.1)
通常控除率15% × 1.05(割増控除率) = 15.75%
(4) 控除限度額の計算
増減試験研究費割合12%超のため、控除限度額は35%になります
(売上高試験研究費割合も10%超で要件満たしますが、どちらか一方を満たせばOK)
(5) 控除限度額の計算
1,200万円(当期試験研究費) × 15.75%=189万円
法人税額300万円×35%=105万円
小さい方 105万円が税額控除額となります。
5. 他の税額控除との関係
例えば、「賃上げ促進税制」など、他の税額控除の制度もあります。こういった制度も、法人税額の20%を上限としていますが、今回の中小企業基盤技術強化税制と併用も可能です。
例えば、両方を併用することで、最大、法人税額の55%まで税額控除できるケースもあります。
6. 繰越控除
中小企業技術基盤強化税制については、現時点では、「控除しきれなかった超過額」を、翌期以降に繰り越すことはできません。
ただし、令和8年改正により、令和9年4月1日以後に開始する事業年度から、控除しきれない税額控除については、3年間繰り越しが認められることが予定されています。
ただし、繰越控除を受けようとする各事業年度において、「その年度の試験研究費額が、適用前3年以内の各年分の試験研究費額の平均額(比較試験研究費)を超えること」等の要件が課される案になっています。
7. 参照URL
No5444 中小企業技術基盤強化税制
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5444.htm
中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/kenkyukaihatsu/index.html
8. YouTube
Coming soon
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