税金の豆知識
Q49【キャッシュバック】キャッシュバックをもらった法人・個人事業主の会計処理・消費税課税区分/サラリーマンの場合は?
最終更新日:2025/05/1022540view

例えば、飲食店やクレジットカード会社などから、利用に応じたキャッシュバックをもらうケースがあります。
こういった「キャッシュバック」をもらう場合、法人や個人事業主の場合は、会計処理や税務上の判断が必要となります。
また、サラリーマンの場合でも、「キャッシュバック」に所得税が課税されるのか?疑問が生じます。
今回は、「キャッシュバック」の会計処理・税務上の取扱い、計上時期などにつきお伝えします。
目次
1. 税法上の取扱い
(1) キャッシュバックの種類
キャッシュバックが行われるケースは、大きく、①購入先(店舗等)からもらうキャッシュバックと、②購入先以外(カード会社等)からもらうキャッシュバックの2種類に分かれます。
(2) 所得税・法人税上の取扱い
キャッシュバックは、あくまで「得した部分」となりますので、上記①②どちらのキャッシュバックに該当する場合でも、所得税、法人税上の所得となります。
したがって、原則として、所得税、法人税が課税されます。
(3) 消費税上の取扱い
消費税は、①国内において、②事業者が事業として、③対価を得て行われる④資産の譲渡・貸付・役務の提供につき課税されます。
つまり、今回の「キャッシュバック」についても、④役務の提供等があるかどうか?により、課税有無が判定されることになります。キャッシュバックの種類によって取扱いが異なります。
以下、法人・個人事業主を前提に、キャッシュバックの種類ごとの会計処理、税法上の取扱いをまとめます。
2. 購入先からもらうキャッシュバック
(1) キャッシュバックの性格
例えば、飲食店での利用金額に応じて、直接、飲食店(=購入店舗)から「キャッシュバック」を受けるケースです(利用者がもれなくキャッシュバックを受けるケースも含む)。こういったキャッシュバックは、役務提供を受けた先(飲食店)からの直接のキャッシュバックとなります。
したがって、当該キャッシュバック取引は、当初の役務提供(飲食)に対応する「対価の返還」と考え、消費税課税取引となります(課税仕入のマイナス)。
勘定科目は、当初支出した科目のマイナスで計上し、消費税、法人税、所得税の課税対象となります(個人事業主の場合は、事業所得)。
(2) 具体例
飲食店での利用料10,000に対して、
飲食店舗から、キャッシュバック1,000を受けた。
【仕訳例】
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
交際費(課仕) 現金(飲食店) | 10,000 1,000 | 現金(飲食店) 交際費(課仕返還) | 10,000 1,000 |
なお、キャッシュバックを行った店舗側は、売上にかかる対価の返還(課税売上のマイナス)、ないし広告宣伝費(課税仕入)で処理を行います。
(3) 仕入先からの販売実績に応じてもらうキャッシュバックも同様
例えば、販売代理店が、販売数量に応じて販売委託元から「キャッシュバック」を受けるケースも、上記同様、役務提供を受けた先(仕入先)からの直接のキャッシュバックとなり、消費税課税取引となります(課税仕入のマイナス)。
勘定科目は、当初支出した科目のマイナスで計上し、消費税、法人税、所得税の課税対象となります(個人事業主の場合は、事業所得)。
販売委託を受けた商品の仕入額10,000に対して、
後日、仕入先(販売委託元)から、キャッシュバック1,000を受けた。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入(課仕) 未収入金(仕入先) | 10,000 1,000 | 現金(仕入先) 仕入(課仕返還) | 10,000 1,000 |
なお、キャッシュバックを行った側は、売上にかかる対価の返還、課税売上のマイナス、ないし販売促進費(課税仕入)で処理を行います。
(4) 販売数量等に応じないキャッシュバックは、消費税不課税
消費税課税取引となるケースは、販売数量等、「一定の基準」に応じて受け取るものに限られます。販売数量等と必ずしも対応しない基準で支給される場合は、当初の支出との対価関係がありませんので、「消費税不課税取引」となります。
ただし、法人税、所得税は課税対象となりますので、勘定科目は、雑収入(不課税)で計上します(個人事業主の場合は、事業所得)
消基通12-1-2 (事業者が収受する販売奨励金等)
事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税仕入れの相手方のほか、その課税資産の製造者、卸売業者等の取引関係者を含む。)から金銭により支払を受ける販売奨励金等は、仕入れに係る対価の返還等に該当する。
なお、キャッシュバックを行った側は、交際費(不課税)で処理を行います。
3. 購入先以外からもらうキャッシュバック
(1) キャッシュバックの性格
金融機関やクレジットカード会社などから、利用料に応じて、「キャッシュバック」を受けるケースです。こういったキャッシュバックは、利用した店舗(=役務提供を受けた店舗)からのキャッシュバックではなく、第三者(金融機関等)からのキャッシュバックとなります。
つまり、役務提供等を受けた店舗以外からの入金となり、クレジットカード会社との間での役務提供はありません。
したがって、当該キャッシュバック取引は、消費税不課税取引となります。
上記同様、法人税、所得税は課税対象となりますので、勘定科目は、雑収入(不課税)で計上します(個人事業主の場合は、事業所得)。
(2) 具体例
飲食店での利用料10,000に対して、
後日、クレジットカード会社から、キャッシュバック1,000を受けた。
【仕訳例】
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
交際費(課仕) 未収入金(クレカ会社) | 10,000 1,000 | 現金(飲食店) 雑収入(不課税) | 10,000 1,000 |
4. キャッシュバックの計上時期
購入時にキャッシュバックの金額がわかるものは、購入時に「未収入金」で計上します。一方、購入時に金額がわからないものは、その「金額の通知を受けた日」となっています(消基通12-1-10)。
【消基通12-1-10まとめ】 仕入割戻しを受けた日
種類 | 仕入割戻の計上時期 |
---|---|
算定基準が購入価額又は購入数量によっており、かつ、 その算定基準が契約その他の方法により明示されているもの | 資産の譲渡等を受けた日 |
上記以外 | 仕入割戻の金額の通知を受けた日 |
なお、「金額の通知」がない場合は、入金時に処理を行うものと思われます。
5. サラリーマンなど個人の場合は?
個人(個人事業主を除く)の方がキャッシュバックを受けた場合は、一時所得に該当し、所得税が課税されるものと思われます。ただし、一時所得の場合は、50万の特別控除と1/2できる規定ありますので、現実的に課税されるケースは少ないかと思われます。
なお、サラリーマンの方などは、給与以外の所得が年間20万円以下の場合、確定申告不要となります。
6. ポイントバックの場合は?
現金ではなく、ポイントで還元されるケースもあります。
ポイントの場合は、付与時点での処理はなく、利用時点で会計処理を行います。
詳しくはQ86をご参照ください。
7. 参照URL
消費者に対するキャッシュバックサービスの課税関係
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/15/02.htm
No.6363 値引き、返品、割戻しなどが行われた場合の税額の調整(仕入に係る対価の返還等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6363.htm
No.6359 値引き、返品、割戻しなどを行った場合の税額の調整(売上に係る対価の返還等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6359.htm
8. YouTube
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