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Q52【アルバイトは?】年末調整が必要な人・不要な人/しないとどうなるのか?確定申告との関係は?

最終更新日:2025/09/13

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NO78 福利厚生費と給与・交際費の違い

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

 

サラリーマンの方などの所得税は、原則として、毎月の給与から、「源泉徴収」されます。
当該「源泉徴収額」については、あくまで概算税額となりますので、毎年の「年末調整」で、各人の所得税が確定します。

しかしながら、「年末調整」は、すべての方を対象に行われるわけではありません。
年末調整できない方や、そもそも年末調整の対象とならない方もいます。

今回は、「年末調整」の対象になる方や、対象にならない方をご紹介し、確定申告との関係につきお伝えしていきます。
 

1.年末調整とは?要件は?

(1) 所得税は年間収入額で確定

サラリーマンの方などの所得税は、原則として、毎月の給与から「源泉徴収」されます。しかしながら、各人の所得税は、毎月の給与支払時に確定するわけではなく、毎年1月~12月の収入総額に応じて、12月末に確定します。
つまり、毎月の給与から徴収されている「所得税」は、その時点ではまだ確定していない「概算税額」となります。
 

(2) 年末調整とは?

所得税は、1月~12月の収入総額に応じて決まりますが、収入額全額に課税されるわけではありません。
各人の状況によって、扶養控除配偶者控除など、さまざまな所得控除を差引いた「課税所得」に課税されます。
勤務先は、毎年年末ごろにに提出される「年末調整書類」をもとに、各人の所得控除等の状況を把握し、各人の所得税を算定します。これが、「年末調整」と呼ばれる作業です。
 

【年末調整の際に提出する書類】

一般的に、年末調整の際に提出する書類は以下となります。

【年末調整時に会社に提出が必要な書類】
● 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
● 「保険料控除申告書」
● 「基礎控除・配偶者控除申告書」

会社側は、毎月給与から徴収した「所得税合計額」と、所得控除等を反映した「確定の所得税額」との差額を算定します。
この結果、所得税を預かりすぎている場合は従業員に還付し、不足していれば追加徴収します。

 

(3) 扶養控除等申告書の提出が必要

年末調整の対象は、正社員だけでなく、アルバイトやパートなども対象となります。
しかしながら、年末調整を行うためには、各人の「扶養状況等」を把握する必要がありますので、年末調整の要件として、「扶養控除等申告書」の提出が必要とされています。提出していない場合、年末調整はしてもらえません

なお、「扶養控除等申告書」は、主たる勤務先にのみ提出できます。例えば副業など、同時に2か所以上で勤務している場合、副業先には提出できませんので、「年末調整」はしてもらえません。
 

2.年末調整の対象となる方

年末調整の対象となる方は、原則として、「扶養控除等申告書を提出し、12月末時点で在職している方」です。
 

(1) 12月末で年末調整の対象となる方

正社員に関わらず、アルバイトやパートの場合でも、「扶養控除等申告書」の提出があり、12月末時点で在籍していれば、原則として「年末調整」が必要となります。

なお、期中入社の場合は、入社前の「前職収入」も合わせて「年末調整」を行います。
前職時代の「源泉徴収票」を勤務先に提出し、勤務先は、前職収入も合わせた額で年末調整を行います。
 

【ご参考 源泉徴収票不交付の届出書】
転職前の勤務先から、「源泉徴収票」を発行してもらえない場合、「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署に提出すれば、税務署から指導してくれます(ハローワークから連絡してくれる場合もあり)。

 

(2) 例外的に期中で年末調整の対象となる方

例外的に、12月末時点で在籍していない場合でも、以下の場合は、年途中で「年末調整」が必要となります。

死亡により退職した方
著しい心身障害で退職した方(本年中に再就職し、給与の支払を受ける見込みのある場合は除く)
12月中に「給与の支払」を受けた後に退職した方
パート等の方が退職した場合で、本年中に支払を受ける給与総額が123万円以下が見込まれる方
(退職後、本年中に給与の支払を受ける見込みの方は除く)
年中途で、海外支店等への転勤により、非居住者となった方。
非居住者とは、国内に1年以上、住所や居所を有しない方です。

3.年末調整が不要な方

(1) 不要な方

年末調整しなくてよい方は、原則として、以下の方となります。

● 年末調整実施時までに「扶養控除等申告書」を提出していない方
● 12月末時点で会社に在職していない(退職した)方 (上記2記載の、「退職者」は除く)
 

(2) 例外 12月末に在籍していても、年末調整が不要なケース

例外的に、12月末に在籍している場合でも、以下の方は、「年末調整」が不要となります。

給与収入が2,000万円超の方
2か所以上の給与の支払を受けている人で、他の勤務先に「扶養控除等申告書」を提出している方
海外に勤務しており、非居住者となる方
継続して同一の雇用主に雇用されない日雇い労働者。その他日額表「丙欄」の方
災害による被害を受けた所定の方(源泉所得税の徴収猶予・還付を受けた)

4.確定申告との関係は?

(1) 原則として確定申告は不要

1か所のみで勤務されている場合は、年末調整で所得税は確定しますので、原則として、確定申告の必要はありません。
一方で、年末調整されていない場合は、原則として、ご自身で確定申告をしなければいけません。
副業で、主たる勤務先でのみ年末調整が行われている場合も、原則として、副業収入も合わせて確定申告が必要です。

なお、年末調整は、すべての「所得控除」が反映されるわけではありません。例えば「医療費控除」などがある場合、ご自身で確定申告することにより、天引きされていた所得税が還付されるケースがあります。
 

(2) 年末調整の省略は不可

年末調整の対象となる方は、たとえ「ご自身で確定申告」する場合でも、年末調整を省略することはできません
年末調整は、法律で定められた義務ですので、会社が年末調整を行わない場合は、所得税法で罰則が設けられています。
また、年末調整をせず、源泉徴収額で不足が生じている場合は、延滞税がかかることになります。

なお、年末調整で、必要な書類を提出し忘れていた場合は、会社に「やり直しの依頼」が可能です。
ただし、会社がすでに年末調整書類を税務署等に提出済の場合は、従業員自身で確定申告しなければなりません。
 

5,参照URL

(令和7年分 年末調整Q&A)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2025/qa.htm

(年末調整のしかた)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2662.htm

(源泉徴収票不交付の届出書)

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100017.htm
 

6.YouTube

 

YouTubeで分かる「年末調整対象者」
 

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
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